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植生学会誌
Vol. 13 (1996) No. 2 p. 87-94

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http://doi.org/10.15031/vegsci.13.87

原著論文

  1.長野県野辺山(標高1,350m)のやや湿った立地に成立したミズナラ林の成長を測った。測定は40年前まで薪炭林として用いていた二次林と、その林床および隣接した草原に植栽したミズナラ幼樹について行った。林床にはミズナラとブナの幼樹それぞれ16本ずつ、隣接した草原には100本のミズナラを植栽した。幼樹のサイズはミズナラ平均0.47m、ブナ1.53mであった。草原に植栽したミズナラ幼樹は0.53mであった。測定は1983年から1995年までであった。幼樹の計測は1983年から1993年までであった。
  2.林床に植えたブナは1986年の遅霜で14本が枯死したが、ミズナラはその時まだ開葉していなかったので、霜の害に遭わなかった。しかしその後、生き残った2本のブナは成長し続けたが、ミズナラは1995年までにすべての個体が死亡した。林外の草原に植えたミズナラは順調に成長した。成木のミズナラの平均胸高直径は1983年に11.5cmで、1995年には14cmとなり、12年間に2.5cm(1年間に2.1mm)成長した。その間に密度は400m^2当たり84本から73本に減少した。樹高は1983年に平均8.4mであったものが1995年には9.4mに成長した。
  3.林外に植えたミズナラの幼樹の根元の直径は1993年には平均1.1cmであったが10年後の1993年には5.8cmとなった。樹高は1983年に平均0.53mであったものが1993年には2.21mとなり、1年間に0.168m成長した。
  4.成林したミズナラ林の胸高直径のヒストグラムは1983年には正規分布からずれていたが、1986年にはほぼ正規分布となり、その後、正規分布への収束とそれからのずれが循環しているようにみえた。
  5.草原に植えたミズナラの樹高と根元の直径の積の相対成長率(RGR)の変動と雨量、気温との間の重回帰分析によると、その年のミズナラの成長には5月の雨がマイナスに作用していることがわかった。これは、その時期の雨そのものの効果ではなく、葉を展開するこの時期に天気がわるく日射量が少ないせいだと考えられた。

Copyright © 1996 植生学会

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