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植生学会誌
Vol. 13 (1996) No. 2 p. 95-106

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http://doi.org/10.15031/vegsci.13.95

原著論文

南九州霧島栗野岳の植生は、標高600m付近のタブノキ林、700m付近のイスノキ林、800mから頂上にかけてのミモ林からなる植生帯を構成している。ミモ林帯にはウワミズザクラやシキミを優占種とする二次林がふくまれ、この二次林は毎年襲来する台風による破壊が原因となっている。各森林について小方形区を設置し、1992年4月から1995年4月にかけて、一部の小方形区では1991年8月から実生の調査を行った。栗野岳の森林では殆どの実生種が母樹種と共存関係にあり、一部で母樹種がプロットにない種であった。一方水俣の国際生物学事業計画のための研究林では、大部分の散布子の種はプロット外からのもので、わずかな種のみがプロット内で自給されていた。この関係は、水俣の森林では多様化の過程にあり、栗野岳の森林は成熟の過程にあると考えられる。タブノキ林では台風で破壊された林冠の下で多数のイイギリの実生が発生したが、1年後にはその殆どが枯死した。一方、林冠種のタブノキの実生も発芽後急速に枯死するが、林床に残るわずかな実生の生存率は高く、次の豊作年まで生き残る。林冠を形成する種の実生の大発生はタブノキ以外では見られなかった。栗野岳頂上付近では二次種の実生が多く見られたが、極相林としてのモミ林へ移行する何らかの兆候は、短い観察期間に関する限り見られなかった。

Copyright © 1996 植生学会

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