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植生学会誌
Vol. 14 (1997) No. 2 p. 119-127

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http://doi.org/10.15031/vegsci.14.119

原著論文

永久凍土連続地帯の南限域にあたるシベリア南東部のアルダン地方(ロシア連邦サハ共和国)の森林植生は,落葉針葉樹であるダフリアカラマツLarix dahuricaが圧倒的に優占し,各所に純林を形成しているが,通常は常緑針葉樹のシベリアトウヒPicea obovataやヨーロッパアカマツPinus sylvestrisなどがさまざまな割合で混在していることが多い.この地方は頻繁な火災によって動的に維持される生態系といわれる北方針葉樹林帯の中でもとりわけ火災の発生頻度が高く,その発生周期(fire cycle)は約60年程度と推定される.1994年の夏期にこの地方の代表的な森林植生であるダフリアカラマツ林,シベリアトウヒ林,さらに乾燥した南斜面などに発達するハイマツPinus pumilaとダフリアカラマツの混交林において,樹木個体群のサイズ構造とコケ類,地衣類を含む林床植生を調査し,それらの特徴を比較することによって,この地方の森林の構造や遷移の特性を明かにした.シベリアトウヒ林にはダフリアカラマツの大きな個体が多くみられることなどから,この森林がかつてダフリアカラマツの優占する森林から遷移したものと推定される.また,小さいサイズの個体ではシベリアトウヒが多くみられるために,シベリアトウヒ林が安定した組成をもつ植生であることが示唆される.これに対してダフリアカラマツ林では,小さいサイズの個体は圧倒的にシベリアトウヒが多いことから,今後火災などの攪乱が生じなければシベリアトウヒ林に遷移する可能性が高いことが示された.一方,土壌がきわめて乾燥する南斜面などではハイマツとダフリアカラマツの混交林が土地的極相として成立しているものと考えた.

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