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植生学会誌
Vol. 15 (1998) No. 2 p. 125-138

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http://doi.org/10.15031/vegsci.15.125

原著論文

  1.大津市は琵琶湖の西と南に広がり,西側地域は京都府と琵琶湖の間に位置して南北に細長く,南側地域では東西に長い,全体としてL字形を形成している.また,市域面積が302.29km^2と広いこともあって,その自然環境は琵琶湖の成因とともに極めて複雑であり,長年の人為的影響によって植生と自然景観はさらに複雑化している.
  2.1995年から1996年にかけて,現地調査によって収集した植生調査資料と既存資料,合計611地点の資料をコンピューター処理をして,植物社会学的な植生単位の抽出を行なった.識別した植生単位に基づいて,5万分の1の現存植生図,植生自然度図,潜在自然植生図を作成したが,ここでは省略されている.
  3.大津市の自然景観について,現存植生図に基づいてメッシュ図によって解析した.まず,現存植生から8項目の景観構成要素に分類し,各景観構成要素についてメッシュ内占有面積から景観優占度級を求め,さらに8景観構成要素について景観優占度級分布図を作成した.次に,景観構成要素の優位さを判定基準によって3階級に分類した.最後に,メッシュ内の景観を判定して景観分布図を作成し,解析した.
  4.相対自然度を用いて大津市の自然性の評価を行なった.相対自然度は,植生自然度の値とそれらの面積的な広がりから求め,メッシュ図に相対自然度の分布状態を示して相対自然度分布図を作成した.相対自然度とメッシュ数の関係,相対自然度分布図から,大津市の自然性の評価と1979年に作成した相対自然度分布図から相対自然度の変化を考察した.
  5.総合評価では,景観分布図と相対自然度分布図をオーバーラップさせ,保全の方向性を示した4つの区域区分を行ない,自然景観・自然環境評価区域の分布図を作成した.それら評価区域は,I : 自然性の高い植生を有する区域, II : 自然景観・自然環境に富む区域, III : 自然景観・自然環境が残存する区域, IV : 自然景観・自然環境に乏しい区域の4評価区域である.そして,それぞれの評価区域の位置づけと大津市の自然景観・自然環境の総合評価を行なった.

Copyright © 1998 植生学会

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