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植生学会誌
Vol. 16 (1999) No. 1 p. 1-11

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http://doi.org/10.15031/vegsci.16.1

原著論文

都市部においては近年になって,河川堤防や高速道路の法面などのように,景観の保全や土砂の流出防止を目的として刈り取り除草の行われる立地が増え,そこには多くの場合チガヤ型の群落が成立している.沖縄においても例外ではなく,高速道路のインターチェンジや空港などを中心にチガヤ型が広がっている.そこでこのチガヤ型を対象に調査を行い,これまでに沖縄で報告されてきたススキクラスの既群集,特に放牧や採草という農村生態系における管理の下で維持されてきたチガヤ群団の既群集と比較することで,その特徴や成立要因について検討した.高速道路法面などに成立するチガヤ型は,シロバナセンダングサやアキノノゲシ,ナンゴクネジバナ,シナガワハギなどの種群を持つことでチガヤ群団の既群集とは異なるチガヤ-シロバナセンダングサ群落としてまとめられた.九州から東北にかけての同様の立地に成立するチガヤ-ヒメジョオン群集と同じく,一年生植物や帰化植物が多く半地中植物が少ないという特徴を持つことから,本群落は,既に沖縄で報告されている半自然草原(ススキクラス)の他の群集とは異なることが明らかになった.立地の出来や環境条件を比較すると,帰化植物の進入経路にあたり,埋土種子や根茎を含む表土を全く有せず,草原生の多年草の種子の供給源から離れた立地に位置し,なおかつチガヤが優占できる範囲で高頻度の刈り取りが行われることで,特徴的な組成群を持つにいたった群落と推察される.これらのことはまた,本群落を持徴づける一年生植物や帰化植物あるいは半地中植物の多少が,種の供給源からの距離に大きく左右されることを示唆する.

Copyright © 1999 植生学会

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