J-STAGE トップ  >  資料トップ  > 書誌事項

植生学会誌
Vol. 16 (1999) No. 2 p. 103-113

記事言語:

http://doi.org/10.15031/vegsci.16.103

原著論文

1991年に奈良県春日山照葉樹林で14haの森林調査区を設置し,胸高幹周囲60cm以上の林冠木55種,4059個体について毎木調査を行い,樹木分布図を作成した.この分布図データにフラクタル幾何学で用いられる3次元ボックスカウント法を適用し,樹木の空間分布のフラクタル次元を推定した.次元の推定に際し,サイズの小さい側でボックス数の飽和を許容するモデルを開発した.調査区に出現する個体数が50以上の樹木16種について算出したフラクタル次元は,1.17から1.73の範囲にあった.また,調査区内の谷線と尾根線のフラクタル次元は,それぞれ1.47と1.43となった.パッチ状の分布特性を特つ種は谷線および尾根線のフラクタル次元より小さい値を示し,中程度のフラクタル次元を持つ種は谷もしくは尾根によく依存した分布特性を示した.フラクタル次元の大きな種は調査区内に広く分布し,そのハビタットに地形依存性が認められない種であった.樹木個体の空間分布パターの解析にフラククルの考え方を持ち込むことにより,ミクロな環境の空間分布特性と樹木の空間分布特性を数値によって比較することが可能となった.

Copyright © 1999 植生学会

記事ツール

この記事を共有