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植生学会誌
Vol. 16 (1999) No. 2 p. 141-147

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http://doi.org/10.15031/vegsci.16.141

原著論文

  1.本研究は,雪面硬化剤としてゲレンデに散布される硫安(硫酸アンモニウム)が植生に影響を及ぼし,その影響はゲレンデ造成時の人為のちがいによって異なることを明らかにしようとしたものである.
  2.植生調査は硫安散布個所と散布量の把握ができた長野県野沢温泉スキー場の二つのコースで行った.硫安散布区と非散布区とに,それぞれ10個所の方形枠(1m^2)を5m間隔で設置し,この方形枠内のすべての出現種,全体の植被率,出現種ごとの被度,高さ,地上部現存量を測定した.
  3.その結果,ゲレンデ造成時の人為の違いに関わらず,硫安散布区では葉の色が顕著に濃くなり,また,地上部現存量も大きく,非散布区では小さかった.
  4.硫安散市区と非散布区とで出現種類を比較したところ,植生の反応はスキー場造成時の地形改変(土壌移動)の大きさに応じ,二つのパターンに分かれた.まずスキー場造成時の地形改変が大きかったところでは,硫安散布区と非散布区とで出現種類に大きな変化は見られなかった.
  5.造成時にほとんど土壌削剥がなされなかったところでは,植生の回復が著しく,ここでは硫安散布区の出現種類が非散布区より有意に少なかった.これは優占種であるオオヨモギなどの一部の高茎草本に硫安の施肥効果が集中し,地表付近に生育するコナスビやニガナなどの小型種の出現頻度が著しく小さくなることによる.

Copyright © 1999 植生学会

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