植生学会誌
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原著論文
高知県蒲葵島(オオミズナギドリ繁殖地)の植生と巣穴構造
前迫 ゆり
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16 巻 (1999) 2 号 p. 149-158

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抄録

土中営巣性海鳥オオミズナギドリと植生との相互作用を検討するため,太平洋側のオオミズナギドリ繁殖地,高知県蒲葵島(32°44'N)において植生および巣穴構造を調査し,植物社会学的な群落分類と主成分分析による序列づけの両手法により植生調査資料を検討した.蒲葵島では標高に応じて1)風衝草本群落(ヒゲスゲ-ハチジョウススキ群落), 2)風衝常緑低木群落(ヤブツバキ群落,ハマヒサカキ群落およびモクタチバナ群落)および3)照葉樹林(タブノキ-ムサシアブミ群集)が分布していたが,植生型1)-3)のオオミズナギドリ巣穴密度はそれぞれ0.3±0.5m^<-2>, 0.2±0.3m^<-2>および0.5±0.1m^<-2>で,植生型による有意差は認められなかった.オオミズナギドリの巣穴は,草本群落ではハチジョウススキやヒゲスゲの株の下に,森林群落では樹木の根や幹付近にそれぞれ掘られる傾向にあった.巣穴を含むヒゲスゲ-ハチジョウススキ群落の平均種数は,他島嶼のヒゲスゲやハチジョウススキ優占群落と比較して低い値を示すことから,オオミズナギドリの営巣活動によって,ヒゲスゲおよびハチジョウススキは繁殖拡大する一方,他の植物種が消失し,草本群落の種組成が単純化しているものと推察された.タブノキ-ムサシアブミ群集においては上級単位構成種の減少やアカメガシワなどの陽生植物侵入などの組成的特徴がみられたが,現在のところ照葉樹林としてよく維持されており,オオミズナギドリ繁殖地として安定した立地を提供していると考えられた.

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© 1999 植生学会
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