J-STAGE トップ  >  資料トップ  > 書誌事項

植生学会誌
Vol. 17 (2000) No. 2 p. 89-95

記事言語:

http://doi.org/10.15031/vegsci.17.89

短報

日本海型ブナ林で春先にササ稈が雪で倒伏している現象がブナ実生の生存に有利である可能性を,福島県檜枝岐村の日本海型ブナ林で調査した.雪解け直後の6月と,その影響が無くなる9月にササの稈角度とササ層下の相対照度を測定した.その結果,6月には多くのササ稈が倒伏しており,ササ下の相対照度はばらつき,明るい地点があった.一方9月にはササは一様に立ち上がり,相対照度も全般に低かった.6月の時点でブナの越年実生の分布と照度の関係を見ると,実生の分布する地点は,分布しない地点に比べ有意に相対照度が高かった.6月にササの倒伏している地点とササの立っている地点で光合成有効光量子密度(PPFD)の日変化を追い,同時にブナ実生の光合成を測定し,光-光合成曲線を得た.その結果,ササの倒伏している地点では,ブナの光合成にとって十分なPPFDが長時間続いたのに対し,ササの立っている地点では短かった.こうした結果から,雪をともなう日本海型ブナ林ではササの倒伏のためブナの実生に有利な可能性を指摘した.

Copyright © 2000 植生学会

記事ツール

この記事を共有