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植生学会誌
Vol. 18 (2001) No. 1 p. 1-12

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http://doi.org/10.15031/vegsci.18.1

原著論文

  1.福島県阿武隈川水系大滝根川に建設された三春ダムの下流において,試験湛水直後から湛水終了1年後までの計3ヶ年,河川植生の変化を追跡し,植生変化の原因を考察した.
  2.植生調査結果から,ツルヨシ群落等冠水域に特有の群落の減少が目立ち,代わりに乾性立地で生育可能なオニウシノケグサ群落,ノイバラ群落,フジ群落,クズ群落等の増加が認められた.
  3.植生変化の主な要因としては,洗掘と流況の変化が考えられた.
  4.ツルヨシ群落等,冠水域に特有の群落は水際部に生育するため,その立地は出水により洗掘されやすく基盤ごと消失した箇所であった.また,ダム下流は土砂の供給が少なく,新たな自然裸地が形成されないため,冠水域に特有の群落の生育立地は増加しなかったものと考えられる.
  5.試験湛水後から約1年9ケ月の間は,ダムがない場合に1年に5回程度の確率で起こる20m^3/sec程度以上の流量がなく,流況が安定していた.そのため,ノイバラやクズ等は破壊されることがなく,ツルヨシ群落に覆い被さる等により生育面積を拡大させたと推察される.

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