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植生学会誌
Vol. 18 (2001) No. 1 p. 13-22

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http://doi.org/10.15031/vegsci.18.13

原著論文

伊豆諸島御蔵島の南東部の標高250mから800mの領域において,12箇所のプロットを設置し,高さ1.3m以上の樹木の種名および胸高直径,群落高,ササ類の被度を調査した.群落高,胸高断面積合計,最大胸高直径は標高の上昇に伴い減少したのに対して,立木密度は増加した.胸高所面積合計比でみると,標高の上昇に件いスダジイ1種の優占群落から,クロバイ,ツゲ,ヒサカキ,ヤマグルマなどが混交する群落へと変化した.また,多様性指数(a)は標高の上昇に伴い増加した.樹木の種組成にもとづき,TWINSPAN法による群落区分を行った結果,スダジイ林(250m-410m),移行型スダジイ林(470m-580m),ツゲ-ヒサカキ-ヤマグルマ混交林(600m-800m)の3タイプに類型化された.ツゲ-ヒサカキ-ヤマグルマ混交林は,温度条件的(WI=105-125)には本土のシイ林からカシ林への移行域に相当するが,その種組成と群落構造は本土とは大きく異なっていた.これは,御蔵島の山頂部が強風などの特殊環境にあることとともに,島効果によりカシ類などの本土の主要構成種を欠いていることが関係していると考えられた.葉の形態別の胸高所面積合計比からみると,低標高ではスダジイを含む常緑亜中型葉樹木が優占するが,標高の増加に伴い,より小型の常緑小型葉樹木と常緑微小型葉樹木が増加した.このような葉形態の変化は,東アジア全体でみると,温帯山岳ではなく熱帯山岳の垂直変化パターンと共通しており,暖温帯を合めた温帯域では特殊な垂直分布といえる.その一方で,御蔵島と同じく火山島である八丈島や,半島状の孤立火山である開聞岳でも常緑亜中型葉林から常緑小型葉林への変化が知られており,暖温帯域の小型火山島あるいは孤立火山では特徴的な現象であると考えられた.

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