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植生学会誌
Vol. 18 (2001) No. 2 p. 47-58

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http://doi.org/10.15031/vegsci.18.47

原著論文

  1.火山島であり,成立年代の大きく異なる二火山(完新世火山の八丈富士と更新世火山の三原山)よりなる,伊豆諸島八丈島において,常緑広葉樹林を対象として植物社会学的方法による植生調査を行った.
  2.表操作による群落区分を行った結果,3群集,1群落,2下位単位が識別された.
  3.ユズリハ-ヤマグルマ群集は,オオキジノオ,ハチジョウウラボシ,ユズリハなど10種を識別種とする群落で,ハチジョウイヌツゲ下位単位とハチジョウスズタケ下位単位の2下位単位に区分される.
  4.ユズリハ-ヤマグルマ群集ハチジョウイヌツゲ下位単位は,ハチジョウイヌツゲ,ハチジョウアザミ,ハチジョウショウマなど11種を識別種とする群落で,八丈富士の標高430m以上に分布していた.
  5.ユズリハ-ヤマグルマ群集ハチジョウスズタケ下位単位は,ハチジョウスズタケ,ヤマグルマ,ミヤマシキミなど10種を識別種とする群落で,三原山の標高450m以上に分布していた.
  6.タブノキ-オオシマザクラ群落は,アスカイノデ,オオシマザクラ,タマシダなど9種を識別種とする群落で,主に萌芽再生林よりなり,八丈富士の標高550m以下に分布していた.
  7.オオシマカンスゲ-スダジイ群集はコハクサンボク,カツモウイノデ,ナギランなど10種を識別種とする群落で,主に萌芽再生林よりなり,三原山の標高540m以下に主に分布していた.
  8.マサキ-トベラ群集はトベラ,マサキ,ハチジョウススキなど8種を識別種とする群落で,海岸部に分布し,八丈富士と三原山の両方に分布していた.
  9.標高傾度でみると,八丈富士のタブノキ-オオシマザクラ群落および三原山のオオシマカンスゲ-スダジイ群集と,ユズリハ-ヤマグルマ群集との境界(標高500m)はWI=132となり,ユズリハ-ヤマグルマ群集の分布範囲は温量指数的にはシイ林域の上部から,カシ林域に相当していた.
  10.八丈富士と三原山という成立年代が異なる山体の相違を時間傾度に置き換えると,ハチジョウイヌツゲ下位単位とハチジョウスズタケ下位単位,タブノキ-オオシマザクラ群落とオオシマカンスゲ-スダジイ群集はそれぞれ遷移的関係として位置づけられると考えられた.

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