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植生学会誌
Vol. 18 (2001) No. 2 p. 99-106

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http://doi.org/10.15031/vegsci.18.99

原著論文

  1.アカザ科マツナ属(Suaeda)のヒロハマツナについて,分布の現状および群落の生態,特に植生単位を決定すると共に,ヒロハマツナと比較するために,日本のマツナ属すべてが産する九州西部においてそれらの詳しい分有を明らかにした.
  2.ヒロハマツナの分布は,東海,近畿,中国,九州の11県から記録されているが,岡山県,福岡県,熊本県,鹿児島県ではすでに絶滅したか現状不明であり,愛知県では生育地が1ケ所,兵庫県,広島県,大分県では減少が著しく,絶滅が危惧される状況であった.現存する分布は南北に狭く,東西に広がっており,分布の東限は愛知県渥美町,西限は長崎県五島の若松町であった.
  3.九州西部において,マツナは北東部のみで,対馬上島に最も生育地が多く,ハママツナはマツナ属の中で最も産地が多く,九州西部全体に分布していた.シチメンソウは有明海沿岸の佐賀県、長崎県に限られ,分布域に入る対馬には発見されなかったが,ヒロハマツナは対馬の浅生湾沿岸部,上五島,長崎県本土中北部の佐世保市,有明海湾奥部に分布していた.
  4.ヒロハマツナは対馬と上五島のそれぞれ1ケ所においてハママツナと同じ塩湿地に,有明海湾奥部においてはしばしばシチメンソウと同じ塩湿地に生育していたが,混生することは少なく,すみ分けしていた.しかし,ハママツナとシチメンソウは同じ地点に分布していることはなかった.
  5.ヒロハマツナの優占する群落を新群集としてヒロハマツナ群集Suaedetum malacospermaeを命名した.

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