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植生学会誌
Vol. 19 (2002) No. 1 p. 43-53

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http://doi.org/10.15031/vegsci.19.43

原著論文

  1.中国黒龍江省,牡丹峰林場と大亮子河林場の発達途上のチョウセンゴヨウ林分において更新過程を調査し,十分に発達したチョウセンゴヨウ-落葉広葉樹混交林において観察されている林冠ギャップ内での更新過程との関係を明らかにした.
  2.牡丹峰の林分は調査した8方形区の平均胸高断面積合計が約38m^2/haと未発達であり,チョウセンゴヨウの優占性も低かった.これに対して大亮子河の林分は,胸高断面積合計が3方形区の平均で約57m^2/haと牡丹峰より発達しており,チョウセンゴヨウの優占性が約70%と高かった.
  3.成長錐コアによる年輪調査から,牡丹峰においては1950年代の山火事をきっかけとして,実生,前生稚樹双方に由来する一斉更新が起こっていた.また前生稚樹として待機していた長さは,最大で約100年に及んでいた.一方,大亮子河では1820年代から1860年代にかけて,現在の林冠層で優占する個体が定着していた.
  4.これら一斉更新後の発達途上にある2林分では,閉鎖林冠下においてチョウセンゴヨウの実生や稚樹はごく少なく,林冠がいくらか疎開している部分にわずかに見られた.
  5.林齢約50年の牡丹峰の林分のみならず,より老齢の個体から構成されている大亮子河の林分においても,林冠構成個体の樹冠サイズはチョウセンゴヨウの定着に適した林冠ギャップサイズよりは小さかった.このため,単木枯死による林冠ギャップが形成されても実生の定着は起こりにくいものと考えられた.
  6.調査した2林分に見られたような一斉更新後の発達途上の同齢的な林分では,次世代のリクルートは大規模撹乱に伴う次の一斉更新に依存する.これに対して,同齢林が十分に発達して初代の個体が林冠で枯死する段階まで移行できれば,単木的な林冠ギャップによる更新が可能となり,異齢的な齢構造をもつ森林へと移行すると結論した.

Copyright © 2002 植生学会

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