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植生学会誌
Vol. 19 (2002) No. 2 p. 83-94

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http://doi.org/10.15031/vegsci.19.83

原著論文

  1.大阪府の都市部に残存する孤立二次林(孤立林)を対象にして,二次林生種の種数および分布と面積の関係について調査し,その結果を兵庫県三田市フラワータウンの孤立林の研究結果(服部ほか1994)と比較した.
  2.種数と面積の間には,Gleason (1922)のモデルとArrhenius (1921)のモデルのいずれを適用した場合にも高い正の相関が認められた.また,この結果は服部ほか(1994)の結果と同じであった.
  3.単位面積あたりの種数を本調査地域とフラワータウンとで比較したところ,本調査地域の孤立林の種数は,いずれの面積についてもフラワータウンのそれより10-20種程度少なかった.この種数の地域差の主な要因は,里山における人の収奪の歴史やその程度の違いと,孤立化してからの経過時間の違いの2つであると考えられた.
  4.小面種化に対する分布傾向の類似性に基づいて,出現種を3つの種群に区分した.すなわち,約10000m^2以上の孤立林に分布が偏るA群,約1000m^2以下の孤立林で欠落傾向を示すB群,小面種化に伴う欠落傾向が認められないC群である.
  5.A-C群の構成種の生活形を種群ごとに調べた結果,多年生草本,特に好適湿性のシダ植物が小面積化に伴って著しく欠落する傾向が認められた.こうした好適湿性の多年生草本の欠落傾向は,フラワータウンの孤立林で認められた傾向と共通していた.好適湿性多年生草本の欠落には,エッジ効果などによる土壌の乾燥化と小面積化に伴う適湿性微地形の欠落が大きな影響を及ぼしていると考えられた.
  6.フラワータウンでは小面積の孤立林にも生育しているが,本調査地域では欠落する傾向にあるという種が数多くみられた.このような分布傾向の地域差には,種数の地域差と同様に,里山における人の収奪の歴史やその程度の違いと,孤立化してからの経過時間の違いが強く関係していると考えられた.

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