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植生学会誌
Vol. 20 (2003) No. 2 p. 119-128

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http://doi.org/10.15031/vegsci.20.119

原著論文

  1.鳥取市域の千代川河川敷におけるエノキ・ムクノキ林の成立に河川氾濫による撹乱頻度が与える影響を明らかにするため,河口から10km付近に存在する河畔林と周囲の河川敷および沖積平野(590ha)における孤立木を調査した.
  2.河川の流量変化から導き出した河川氾濫による撹乱頻度が,エノキとムクノキの分布形態に与える影響を調べ,エノキ・ムクノキ林の成立と河川氾濫による撹乱頻度の関連を調べた.
  3.河川氾濫による冠水が認められる日が流量調査された16年分の平均で1.3回/年であった地帯に大径木を含むエノキ・ムクノキ林は成立していたのに対し,より撹乱頻度が高い13.8回/年であった川側の地帯では一斉林を形成するものの大径木まで生育するのは困難であると考えられた.また,河川氾濫による撹乱頻度が低い堤防の内側の沖積平野では,エノキとムクノキの大径木が生育するが遷移後期種の他の樹種も多く出現した.
  4.河川氾濫による撹乱頻度との関連から,鳥取市域を流れる千代川の河川敷はエノキ・ムクノキ林の成立条件にあてはまると考えられた.すなわち,エノキ・ムクノキ林は撹乱後に他の樹種に先駆けて侵入するが,その後大径木への成長を妨げず,かつ更新サイトを定期的に形成する中規模の撹乱体制に対応して維持されていると考えられた.

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