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植生学会誌
Vol. 21 (2004) No. 1 p. 15-26

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http://doi.org/10.15031/vegsci.21.15

原著論文

  1.奥秩父山地大山沢のシオジ-サワグルミ林における林床植生の成立機構を明らかにすることを目的として,立地の攪乱的特性と,林床植物の分布と生活型の検討を行った.
  2.6つの地形型を取り上げ,堆積物,傾斜角度,窒素,炭素含有量からその属性を検討した.土石流段丘と沖積錐は,土石流による形成後,相対的に安定に維持される地形型で,段丘崖と新期崩壊地は斜面上方からの崩落物質によって斜面の脚部に形成される変動性の高い地形型,旧崩壊斜面と崖錐は同様に崩壊地としての特性を有しつつも顕著な攪乱性をもたない地形型であった.
  3.クラスター分析によって抽出された主要な3つの種群のうち,第1の種群には春期型や夏期型と貯蔵型根茎といった生活型,第2,第3の種群には,一年生草本,むかご型栄養繁殖,入れ替え型根茎の生活型が特徴的に含まれた.
  4.土石流段丘,沖積錐には第1の種群,段丘崖,新期崩壊地,旧崩壊斜面,崖錐には第2の種群が結びつき,後者でも特に侵食作用が卓越する段丘崖と新期崩壊地には,さらに第3の種群が結びついていた.
  5.土石流や斜面崩壊,物質の崩落といった斜面の脚部に組織的に発生する地表変動が地形を形成し,地表攪乱,傾斜角度,堆積物,土壌などの地形属性を規定し,それに対して,林床植物が栄養繁殖様式や物質貯蔵形態といった種特性に応じて立地を選択するという機構を通じて,サワグルミ-シオジ林の林床植生が成立すると考えられた.

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