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植生学会誌
Vol. 21 (2004) No. 2 p. 79-87

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http://doi.org/10.15031/vegsci.21.79

原著論文

  1.大雪山北部,小泉岳の高山風衝地において,パッチ状植生の調査と植生パッチにおける環境測定の結果から,イワウメ及び地衣蘇苔類が植生発達に与える影響を検討した.
  2.調査方形区(20m×20m)には計118個の植生パッチが出現し,ほとんどのパッチは優占種にもとづいてイワウメの優占するパッチ,地衣蘇苔類の優占するパッチ,タイセツイワスゲの優占するパッチの3つのパッチタイプに区分された.3.パッチサイズが大きくなるにつれて種数は多くなる傾向があるが,
  3つのパッチタイプで単位面積当たりの種数に有意差はみられなかった.一方,イワウメや地衣蘇苔類の優占するパッチはタイセツイワスゲ優占パッチに比べてパッチサイズが大きく,出現種数も多かった.また単位面積当たりの実生数も多かった.
  4.体積含水率と窒素量は3つのパッチタイプと裸地との間で有意差がみられなかった.積算地温はタイセツイワスゲ優占パッチや裸地に比べてイワウメや地衣蘇苔類の優占するパッチで30-60℃程度高い.またC/N比はイワウメ優占パッチで最も高かった.
  5.高山風衝地ではクッション植物イワウメや地衣蘇苔類のマット状植被が他の維管束植物に侵入・定着場所を提供しており,植生発達に貢献していると考えられる.またイワウメや地衣蘇苔類のマット状植被は積算地温の増大や土壌への有機物供給という面で立地環境を改変していることがわかり,植物の成長に好適な立地環境を提供していると考えられた.

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