植生学会誌
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原著論文
四国のサワグルミ林における林床植生の種組成と微地形
川西 基博石川 愼吾三宅 尚大野 啓一
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2005 年 22 巻 2 号 p. 87-102

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抄録

  1.四国のサワグルミ林内における林床植生の成り立ちを明らかにすることを目的とし,林床植生における群落の空間的分布・配列と微地形単位との対応を検討した.
  2.サワグルミ林が成立している範囲における微地形単位を,その形状と表層物質(細粒物質の粒度組成,礫径,有機物含有量)から把握した.崖錐は,全体的に粗大な礫が卓越する微地形で,その礫間充填物は有機物を多く含んでいた.下部谷壁斜面の礫間充填物は,シルト・粘土が最も多く含まれる粒径組成を示したのに対し,麓部斜面と流路では砂礫を最も多く含んだ粗粒な充填物であった.土石流段丘の礫径および礫間充填物は変動が大きかった.
  3.崖錐では構成種数が少ないタニギキョウ群落が成立していた.それ以外の微地形単位では複数の群落が成立していた.シコクスミレ群落は有機物含有量の大きい下部谷壁斜面に,オオマルバノテンニンソウ群落は流路の影響は及ばない高位土石流段丘から下部谷壁斜面に成立していた.ラショウモンカズラ群落は麓部斜面の有機物含有量が比較的低い堆積物上に,テンニンソウ群落は,堆積物が粗砂と礫で構成される低位土石流段丘と麓部斜面に成立していた.ワサビ群落は源頭部の流路に成立していた.
  4.四国におけるサワグルミ林の林床植生では,微地形単位に直接結びつく群落が存在する一方で,微地形単位内部のより微細な立地に対応する群落も存在し,これらの群落が複合することによってサワグルミ林全体の種組成が決定されている.

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