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植生学会誌
Vol. 22 (2005) No. 2 p. 135-146

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http://doi.org/10.15031/vegsci.22.135

原著論文

  1.日本の暖温帯の主要な海浜植物14種(在来海浜植物11種,外来植物3種)について,永続的シードバンク形成の可能性を明らかにするために,野外において約1年間にわたる播種実験および埋土実験をおこなった.
  2.地表0cmおよび地表面下5cmへの播種実験の結果,ハマエンドウ,ハマボウフウ,ハマヒルガオ,ハマゴウ,ネコノシタ,コウボウムギ,コウボウシバ,ビロードテンツキ,コマツヨイグサ,オオフタバムグラ,ボウムギの11種は播種から約1年後にも未発芽の生存種子が残されており,地表付近に永続的シードバンクを形成する可能性があると考えられた.
  3.ハマニガナ,オニシバ,ケカモノハシの3種は地表0cmおよび地表面下5cmへの播種から約1年後に未発芽の生存種子は残されておらず,地表付近には永続的シードバンクを形成しにくいと考えられた.
  4.地表面下100cmへの埋土試験の結果,対象とした14種はいずれも1年以上の埋土処理後にも発芽能力を維持しており,深く埋められたときには永続的シードバンクを形成する可能性が示された.また,ハマヒルガオを除く13種は,埋土条件下では発芽が完全に抑制されていることが観察された.
  5.地温の測定結果から,深深度では,冬季に十分に低温にならないために種子の休眠解除が阻害される可能性や,地温の日変化がほとんどないために種子の発芽要求が満たされない可能性が示唆された.
  6.埋土深度の違いによる温度環境のちがいが種子のふるまいを規定している可能性があることから,堆積速度が異なる場所ではシードバンクの成り立ちが異なるものと推察された.堆砂が激しい「不安定帯」では散布された種子が地表面下深く埋められるため,すべての種がシードバンクを形成する可能性が考えられた.一方,堆砂の少ない「半安定帯」では散布された種子は地表付近にとどまり,永続的シードバンクを形成するかどうかは種ごとの休眠発芽特性によって決まると考えられた.

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