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植生学会誌
Vol. 23 (2006) No. 1 p. 25-36

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http://doi.org/10.15031/vegsci.23.25

原著論文

コシダ群落およびウラジロ群落の種組成および群落構造を西南日本瀬戸内地方西部に位置する宮島において調査した.コシダおよびウラジロの優占度に基づいて区分された4スタンド型,コシダ型(DT),ウラジロ型(GT),これら2種を全く欠くかあるいはほとんど欠くシダ非優占型(NT),シダ優占型(DTおよびGT)とシダ非優占型(NT)の間の中間型(IT)で種組成を比較した結果,個々のスタンド型を特徴付ける種はほとんど見出されず,これら4スタンド型間の種組成には明確な違いがないことが示された.しかし,高木層,亜高木層および草本層における種の豊かさおよび種多様度は,中間型およびシダ非優占型よりもコシダ型およびウラジロ型において有意に低かった.これはシダ優占型においてはコシダやウラジロが圧倒的に優勢であり,他種の定着に利用されるセーフサイトが著しく減少していることに因ると考えられる.また中間型は,種の豊かさおよび種多様度に関して,シダ優占型とシダ非優占型との中間の値を示した.種の豊かさおよび種多様度と,草本層の植被率には負の相関関係が認められ,コシダおよびウラジロの他種に対する排他的効果はこれらシダ植物の被度の増加に伴って大きくなることが示唆された.シダ葉群下における照度の減少の程度は,ササ葉群下と同程度であった.また,コシダおよびウラジロ生葉の分散構造を解析した結果,コシダおよびウラジロ生葉は,チマキザサやワラビなどのクローン植物の地上部がその優占群落において示すのと同様に,ランダム分布する傾向が認められた.本研究を通じて,コシダ群落およびウラジロ群落は,高い競争能力を有していることが示唆された.最後に,攪乱を受けた森林植生の機能回復および生態系保全の点から,コシダとウラジロがもつ生態的役割について議論した.

Copyright © 2006 植生学会

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