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植生学会誌
Vol. 23 (2006) No. 2 p. 153-161

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http://doi.org/10.15031/vegsci.23.153

原著論文

  1. 屋久島西部の国割岳西斜面を対象に,準絶滅危惧種ヤクシマサルスベリの潜在的なハビタットの推定を行った.
  2. 現地調査による個体分布と数値地形情報から算出された地形因子を基に12.5m×12.5mの11280セルについて,ポアソン分布を用いた一般化線形回帰分析(Poisson loglinear model)による個体密度推定モデルを構築した.
  3. 地形因子を1)対象セルそのものの地形特性,2)最近接流路との位置関係,3)最近接流路の属性,4)集水域の違いの4レベルに整理し,各レベルの因子を順次追加してモデルを構築することで,使用する因子の重要度を比較した.
  4. モデルの次数が大きくなるに連れてAICが減少しており,モデルの当てはまりのよさが向上した.この結果は,解析対象とするセルそのものの地形特性だけでは,ヤクシマサルスベリの潜在的なハビタットの推定が困難であることを示していた.
  5. 集水域の違いを考慮したモデルでは,他のモデルと比較して推定精度が飛躍的に向上した.これは,種子供給源と土砂生産源の存在の違いが影響していると考えられた.
  6. 以上の結果から,渓畔種であるヤクシマサルスベリの潜在的なハビタット推定には,近接流路との関係および流路の属性の考慮および集水域の違いに関わる要因として土砂生産源となる崩壊地の分布や種子供給源となる母樹の分布の把握が有効であることが示唆された.

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