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植生学会誌
Vol. 24 (2007) No. 1 p. 1-17

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http://doi.org/10.15031/vegsci.24.1

原著論文

  1. 河川沿いの沖積砂礫地に成立するコナラ林の植物社会学的位置付けをおこなうために,本州中部を流れる河川において植生調査をおこない,山地,丘陵地,台地に成立する既報のコナラ林の諸群集と種組成の比較をおこなった.
  2. 河川沿いのコナラ林は種組成的な独自性が高いと判断されたことから,ヤマブキ,ウメガサソウ,サワシバ,クロウメモドキ,イヌザクラ,アサダ,オニイタヤ,ウバユリを標徴種として,新たにコナラ-ヤマブキ群集を記載した.
  3. コナラ-ヤマブキ群集は山地,丘陵地,台地のコナラ林の諸群集に比べて,ハルニレ-シオジオーダーの種をより多く有し,逆にススキクラスの種が少い.これは土壌条件や農用林・薪炭林としての利用履歴などが異なっていることが関係していると考えられた.
  4. コナラ-ヤマブキ群集は,WI75℃・月から110℃・月,CI-25℃・月から-5℃・月に分布していた.このことから,本群集は気候的には中間温帯を中心に分布する群集であると考えられた.
  5. コナラ-ヤマブキ群集の分布は,内陸部の山地と低地の境界付近に集中しており,扇状地の分布と一致していた.また,主な成立立地は礫床河川沿いの砂礫地であった.
  6. コナラ-ヤマブキ群集は山地,丘陵地,台地のコナラ林ではほとんど出現しないキハギ,クモキリソウ,アブラチャン,オシダなど,河畔林や渓畔林との共通種を多数有していた.特に,同様の立地に成立するアカマツ-ヒメヤブラン群集や渓谷のケヤキ林との種組成的関連が強いことがわかった.
  7. コナラ-ヤマブキ群集はカシ類,ブナなどの気候的極相種をほとんど含まないことから,中間温帯域の礫床河畔における土地的極相群落の一つと考えられた.

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