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植生学会誌
Vol. 24 (2007) No. 2 p. 171-182

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http://doi.org/10.15031/vegsci.24.171

原著論文

南九州の照葉樹二次林において微地形の変異を調査し,樹木のハビタット分割と多様性に及ぼす微地形の影響について解析した.ランダマイゼーション法で樹種ごとの地形的な分布の偏りを解析した結果,58種中20種が少なくとも一つの微地形(頂部斜面(SC),上部斜面(US),下部斜面(LS))に偏りを持つことが示された.検出された偏在微地形(preferred site)に基づき,出現種はSCグループ(9種),USグループ(2種),LSグループ(7種),普遍種(16種)および低頻度出現種(24種)の5つのグループに分類された.微地形間で各グループの出現種数の割合に有意な差はみられなかったが,個体数や胸高断面積合計(BA)の構成比率には差がみられ,特にLSグループの特殊化の度合いが高いことが示された.優占種のうち,ハナガガシは下部斜面に分布が偏っており,下部斜面の土壌水分に影響を受けていると考えられた.一方,その他の優占種であるイスノキおよびツブラジイは,上部斜面に分布が偏る傾向が確認された.微地形間で種数面積曲線を比較した結果,立木密度が高い頂部斜面および上部斜面では小面積で多種の共存が可能であることが示された.一方,下部斜面は絶滅危惧種ハナガガシを含む多くの低頻度出現種も包含できる可能性を有しており,地域の種多様性を維持する上で重要なハビタットを提供していることが示唆された.

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