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植生学会誌
Vol. 25 (2008) No. 1 p. 1-12

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http://doi.org/10.15031/vegsci.25.1

原著論文

  1. 東京都多摩地方南西部の八王子市,日野市において,コナラ・クヌギ二次林の管理形態と群落構造や出現種数など植生に関わる要素の関係を整理し,特に現在の社会的背景に合わせた新しい管理主体による適切な管理のあり方を探るために,植生調査および管理方法についての聞き取りを行い,統計解析を行った.
  2. 管理の主体,目的および継続性から,調査した林分を,旧来の所有者あるいは利用者により農業利用を目的に旧来の方法が継続されている「伝統的管理」,行政や組織化された市民ボランティア等により継続性をもって行われている「非伝統的管理」,所有者の移転時や行政主導の単年度事業等で単発的に管理が行われた「単発的管理」と,「放置」の4つの管理形態に区分した.
  3. 管理形態ごとに管理手法を比較すると,伝統的管理では下刈りは年1回冬季で,落葉採取が行われ,管理の中断期間のない林分が大半を占めた.非伝統的管理では時期や頻度は多様なパターンがみられ,落葉採取は大半で行われておらず,10年以上の管理中断期間のある林分が多かった.単発的管理は非伝統的管理と同様に時期は多様で,落葉採取が行われている林分はなかった.
  4. 林床管理の有無により,植生に関する要素の多くで有意な差が認められた.継続性のある管理によりササは抑えられることがわかった.低木第2層のササ以外の常緑種と落葉種の被度は,継続性はなくても管理があれば抑えられることがわかった.夏緑多年草の種数は管理の継続性と中断期間に,一・二年草の種数は管理手法との間に有意な差が認められた.
  5. 新たな主体によって管理を行う場合,長期の管理中断期間のない林分を優先的に選び,種多様性の維持やササの抑制に効果の低い単発的管理を手広く行うよりは,限られた場所でも継続的に管理をする方がこれらについて効果的と考えられた.

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