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植生学会誌
Vol. 25 (2008) No. 1 p. 63-72

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http://doi.org/10.15031/vegsci.25.63

原著論文

  1. 宮崎県綾町綾南川上流の大森岳に分布する照葉樹林において,樹木の樹幹・枝上に付着する植物の調査を行い,着生植物の種多様性と樹木の個体サイズとの関係について解析した.また,同一地域の低海抜地で得られた川中の資料を用いて,両調査地における着生植物の種組成を比較した.
  2. アカガシ,イスノキ,タブノキなどの照葉樹14種,夏緑樹1種の133個体に付着する植物を調査した結果,マメヅタ,ヒメノキシノブ,マメヅタラン,シノブなどの着生植物22種,テイカカズラ,イタビカズラなどのつる植物10種,ヒノキバヤドリギなどの寄生植物2種,総計34種を確認した.
  3. 着生植物の種数と樹木サイズ(DBH,樹高,樹高と胸高周囲の積)には有意な強い正の相関が認められ,全樹種,アカガシ,イスノキ,タブノキにおける着生植物種数とDBHとの関係を表す有意な回帰式を得た.
  4. 出現頻度と平均被度面積(m^2)の比較表とDCAを用いて,今回の調査地である高海抜地と低海抜地(川中)における着生植物の種組成を比較したところ,両者には明瞭な違いが認められた.
  5. 両調査地において着生植物の種組成に差異がみられた要因としては,海抜差に基づく気温条件や雲霧,降水量条件の違いが考えられた.
  6. 着生植物種数とDBHとの回帰式には,高海抜地と低海抜地で差が認められた.高海抜地では回帰式の傾きが大きく,着生植物の付着しにくいイスノキでも有意な回帰直線が得られた.高海抜地では雲霧の発生頻度が高く,着生植物の生育にとって好適な環境条件にあることから,低海抜地と比較して着生植物の種多様性が高くなるものと推察された.

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