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植生学会誌
Vol. 25 (2008) No. 2 p. 109-120

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http://doi.org/10.15031/vegsci.25.109

原著論文

  1. 栃木県茂木町の丘陵地帯において,Rabinowitz(1981)による希少性の類型化手法を参考に,植生調査資料を用いて地域フロラ構成種の希少性を定量的・客観的に類型化した.
  2. 丘陵地の小集水域をサイトとし,14のサイトにおいてフロラ調査と植生調査を行った.得られた385の植生調査資料を用いて表操作を行った結果,53タイプの群落が区分された.調査地全域で672種を確認し,そのうちには絶滅危惧種が8種含まれていた.
  3. 各種の出現サイト数,出現群落数,出現時の平均被度を算出し,この3項目の多少の組み合わせから,種の希少性を8パターン(=2×2×2)に類型化し,地域フロラ構成種の希少性タイプを判定した.各類型化項目の多少のしきい値には中央値を用いた.
  4. 各希少性タイプに分類された種数の割合には偏りがあり,普通とされるタイプの種と,最も希少とされるタイプの種が多かった.希少性タイプ別の種数の割合はサイト間では大きな違いはなかったが,群落間では大きく異なっていた.水田雑草群落や,雑木林や植林地といった木本群落の構成種に希少とされる種の割合が高かった.調査地に出現した国レベルの絶滅危惧種で希少性を判定できた種はすべて,最も希少性が高いとされるタイプに分類された.
  5. 地域フロラを構成する種を希少性に基づいて分類することで,各種の地域での絶滅を引き起こす可能性のある要因を特定することができる.保全の必要性の高いサイト・群落の特定が可能になる本研究の手法は,種多様性保全及び生物多様性保全のための基礎的知見となると考えられる.

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