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植生学会誌
Vol. 25 (2008) No. 2 p. 121-129

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http://doi.org/10.15031/vegsci.25.121

原著論文

  1. 伊豆諸島の利島を対象に,東西斜面間での垂直分布の差異の実態と,西斜面の上部に特異的に存在するヤマグルマ-オオバエゴノキ群落の成因を検討した.
  2. 自然性の高い合計12の調査区において,毎木調査によって得られた資料から各種の優占度(RBA)を算出し,調査区間の類似度を求めてクラスター分析を行った結果,島の森林植生は低地のスダジイ-タブノキ型と,高地のヒサカキ-オオバエゴノキ型に分けられた.ヒサカキ-オオバエゴノキ型は,種組成の点でヤマグルマ-オオバエゴノキ群落と相同の植生であると考えられた.
  3. 東西斜面間でヒサカキ-オオバエゴノキ型の分布域を比較すると,分布下限高度が東斜面に比して西斜面で100mほど低く,垂直分布に東西較差がみられた.
  4. スダジイ-タブノキ型はスダジイとタブノキが優占し,発達した群落構造を示したが,一方のヒサカキ-オオバエゴノキ型は常緑広葉樹と先駆性落葉広葉樹が混生し,未発達な群落構造であった.
  5. 西斜面におけるヒサカキ-オオバエゴノキ型の分布域は,最寒月の平均気温が5.1℃,冬芽期の月平均気温の積算値が52.0℃・月となり,落葉広葉樹二次林の優占域と一致していたことから,ヒサカキ-オオバエゴノキ型は冬季の低温によって成立した植生であると考えられた.
  6. 偏形樹を調査した結果,偏形度の高い偏形樹が西斜面に集中分布していたことから,西斜面は強い季節風の影響下にあると考えられた.これより,冬季季節風の攪乱作用によってスダジイ-タブノキ型が欠落する西斜面の上部に,ヒサカキ-オオバエゴノキ型が成立していると考えられた.

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