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植生学会誌
Vol. 26 (2009) No. 2 p. 79-88

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http://doi.org/10.15031/vegsci.26.79

原著論文

愛知県豊田市八草の丘陵において,アカマツとフモトミズナラが優占する二次林内に1.5haのコドラートを設け,侵入しつつあるアラカシ個体群の解析を行った.1.5haのコドラートを10m四方の150のサブコドラートに区分し,尾根(0.56ha),斜面(0.69ha),および谷(0.25ha)の地形区分を行い,確認されたアラカシの稚樹(実生も含む)1025個体のうち,963個体について樹高を,また384個体について樹齢を測定した.さらに,1999年7月から2001年4月にかけて,約2年間の樹高伸張の測定と枯死個体の確認を行った.アラカシ稚樹の密度は尾根で低く(3.3/100m^2),斜面と谷で比較的高かった(85/100m^2および10.3/100m^2).この尾根におけるアラカシ稚樹の密度の低さは,斜面と谷に比較してアラカシ稚樹の死亡率が尾根で高いことと対応していた.調査対象の二次林は,1960年代の燃料革命以降は伐採が行われておらず,およそ40年前からアラカシの侵入が始まったものと推測された.堅果の供給源は,およそ300m離れた場所に生育するアラカシ母樹か,あるいはおよそ3km離れた瀬戸市の海上の森に分布する母樹である可能性が考えられた.アラカシ堅果の散布者はネズミ類ではなく,カケスであると推測した.調査地域の二次林は,将来谷を中心にアラカシ林へと発達するものと予想した.

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