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植生学会誌
Vol. 26 (2009) No. 2 p. 103-110

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http://doi.org/10.15031/vegsci.26.103

短報

  1. 兵庫県北部の朝来市で風倒被害を受けたスギに着生した大量のカヤランを対象に葉鞘数,結実数,過去の結実の有無を調査した.これらの結果から齢別期間生存率と齢別繁殖率を推定することで推移行列を作成し,その個体群統計を推定した.
  2. 調査したカヤランの個体数は1335,最大葉鞘数は53,結実個体数は70,結実経験個体の最小葉鞘数は10であった.結実個体での最大結実数は4,平均結実数は1.56であった.
  3. 1年当たり2.5枚展葉する,結実数と定着率に年変動がない,外部との種子の移出入による影響はない,複数年にわたる種子の休眠はないと仮定し,推定した生存率と齢別繁殖率をもとにして推移行列を作成した.
  4. 齢別期間生存率は,全ての葉鞘数に対する残差平方和が最小になる葉鞘数を区分点として,葉鞘数の少ない個体と多い個体とで生存率を分けて推定した.区分点の葉鞘数は8であり,葉鞘数8以下と8を超える個体の生存率はそれぞれ0.8161と0.9131であった.
  5. 齢別繁殖率は,個体あたりの当年の結実数と果実あたりの平均定着率との積を年2.5枚の展葉枚数で除して推定した.個体あたりの当年の結実数は,最少葉鞘数の結実個体である葉鞘数10以上の全個体で,葉鞘数を独立変数に結実数を従属変数にしたポアソン回帰によって求めた.その結果,回帰式F_L=exp(0.0484L-2.2043)(F_Lは葉鞘数Lでの結実数)を得て,これを葉鞘数10以上の個体での結実数とした.果実あたりの平均定着率は,定着個体数を結実数で除して求めた.結実数は109,推定した定着個体数は490であり,果実あたりの平均定着率は45であった.結実数と定着率との積を年25枚の展葉枚数で除したR_L=1.7994exp(0.0484L-2.2043)(R_Lは葉鞘数Lでの繁殖率)を葉鞘数10以上での葉鞘数ごとの繁殖率とした.
  6. 推移行列から得られた本個体群の1年あたりの期間自然増加率は1.0235であった.このことから,調査結果からは本個体群は増加傾向にあると推定した.

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