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植生学会誌
Vol. 26 (2009) No. 2 p. 111-118

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http://doi.org/10.15031/vegsci.26.111

短報

  1. 中国雲南省の南部に位置する菜陽河自然保護区にはカバノキ科カバノキ属の落葉広葉樹であるBetula alnoidesの優占する二次林(B.alnoides林)が数多く分布している.本研究では,当保護区のB.alnoidea林を対象に毎木調査を行い,その結果を発達程度の異なる複数の林分の間で比較することによって,B.alnoides林の構造と動態を明らかにすることを目的とした.
  2. Betula alnoides林の若齢林分(10-20年生)と壮齢林分(30-40年生)に合計10の調査区を設置し,胸高直径(DBH)が3cm以上の全生立木(幹)について毎木調査を行った.
  3. Betula alnoidesの最大DBH(B-最大DBH)と同種の幹数との間には強い負の有意な直線関係がみられたが,胸高断面積合計との間には強い正の有意な直線関係がみられた.「その他の種」の胸高断面積合計は調査林分間でよく似ており,B-最大DBHとの有意な直線関係はみられなかった.
  4. 若齢林分と壮齢林分の間でDBH階分布と樹高階分布を比較したところ,B.alnoidesと「その他の種」のサイズの差は時間の経過と共に拡大する傾向が認められた.
  5. Betula alnoidesの実生・幼樹(DBH 3cm未満の個体)はまったくみられなかった.また,壮齢林分のDBH階分布と樹高階分布はB.alnoidesの更新が不連続であることを示した.さらに,壮齢林分ではB.alnoidesのほとんどの幹は林冠木であった.これらのことから,B.alnoidesは耐陰性が非常に低く,閉鎖林冠下では個体群の更新ができないばかりか実生バンクの形成さえも不可能であることがわかった.
  6. Betula alnoidesの樹高は20年以内に25m,40年以内に40mに達することが示唆された.また,B.alnoidesの最大樹高と樹高成長速度は日本に分布するカバノキ属高木種のそれらよりもかなり大きいことがわかった.このような差の主な原因は気温条件の違いにあると考えられた.

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