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植生学会誌
Vol. 27 (2010) No. 2 p. 63-71

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http://doi.org/10.15031/vegsci.27.63

原著論文

九州南東部の低地に分布するカシ林のうち,アラカシ林,イチイガシ林および絶滅危惧種であるハナガガシの林分に着目し,12調査区から得た植生資料および文献から得た65の植生資料を用いて,これら3種の優占する林分の種組成を比較した.また,12調査区での植生資料および立地環境の測定結果から,これら3接の優占する林分の立地環境を比較した.TWINSPANの結果,77のスタンドがホソバタブとコバノカナワラビを指標種として2つのグループに分けられ,1つのグループではイチイガシあるいはハナガガシが優占し,もう1つのグループではアラカシが優占していた.前グループの下位分類では,イチイガシを指標種とするイチイガシ優占林とアラカシおよびコジイを指標種とするハナガガシ優占林の2グループが検出された.既存の研究や本研究のTWINSPANの結果から,ハナガガシ優占林はイチイガシ-ルリミノキ群集と似た種組成を持つことが明らかとなったが,上級単位を比較すると,アカガシ-シキミオーダーの標徴種・識別種よりもスダジイ-タイミンタチバナオーダーの標徴種・識別種の出現頻度が高く,ハナガガシとコジイの共存する頻度が高いという既存の研究結果から,低標高域におけるハナガガシ優占林はスダジイ-ミミズバイ群集であることが示唆された.12調査区の植生資料および立地環境調査で得られた結果をCCAによって解析した結果,ハナガガシ優占林はイチイガシ優占林よりも急斜面で土壌が薄い場所に成立していることが明らかとなった.それぞれの優占種として見た場合も,ハナガガシはイチイガシとアラカシの中間的な立地に生育することが明らかとなった.さらにハナガガシとイチイガシの立地環境の違いは,土壌水分以外の微地形などの要因を反映していることが示唆された.

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