植生学会誌
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ミツデウラボシの幼胞子体の定着における蘇苔類群落の役割
水野 大樹竹崎 大悟百原 新沖津 進
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2012 年 29 巻 2 号 p. 105-109

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抄録

1. ミツデウラボシの生育立地である乾燥した崖地は,胞子が雨水によって斜面下部へ流出しやすいだけでなく,前葉体が乾燥にさらされてしまうため定着しにくいと予想された.
2. ミツデウラボシの生育立地に群落を形成していた蘇苔類に着目して,蘇苔類の被度とミツデウラボシの幼胞子体の分布を比較した.
3. ミツデウラボシの幼胞子体は,蘇苔類群落が多く生育する小方形区ほど分布している割合が高かった.
4. 蘇苔類群落内は露出した地表面に比べ,散布された胞子が雨水によって流出しにくいため,定着しやすいと考えられた.
5. 蘇苔類群落内は湿潤環境が維持され,胞子の発芽や前葉体での受精が容易になるため,幼胞子体の分布密度が高くなると考えられた.

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