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植生学会誌
Vol. 30 (2013) No. 2 p. 133-144

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http://doi.org/10.15031/vegsci.30.133

総説

1.地すべりと植生の関係に関する従来の研究成果を概観し,長期的な視点から地すべりの影響を明らかにするうえでの研究課題を示した.
2.地すべり地の変動域は,滑落崖と移動体によって輪郭が構成され,移動体の内部には小崖,小丘,凹地,岩塊原などの微地形が形成される.地すべりの発生は気候,地質,地形の影響を受けて,時空間的に不均質な分布となる.
3.地すべり地では地形や土壌が改変され,また新たな微気候条件・水文条件の場所が作り出されるので,多様な植生が成立する.
4.地すべり地の遷移の経過は,地すべり発生後の年数,標高,方位,地質などの影響を受けるほか,個々の地すべり地における地表の安定性,土層の粒径分布,生物学的遺産の有無などの影響を受ける.
5.地すべりの長期的影響を,山地の植生構造やフロラの形成の観点から検討することは重要な課題である.これは,発生年が推定された複数の地すべり地を比較検討するなかで明らかにされるべきである.
6.地すべり地形は,周氷河地形や氷河地形と並んで,日本の高山植生景観を特徴づけていると考えられる.滑落崖背後の準変動域に形成される線状凹地の植生は,長期的な視点で地すべりと高山植生の関係を解明するための一つの研究対象となりうる.

Copyright © 2013 植生学会

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