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植生学会誌
Vol. 31 (2014) No. 1 p. 1-17

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http://doi.org/10.15031/vegsci.31.1

原著論文

1.離岸堤によって再生した海浜における海浜植物の分布特性を明らかにするために,鳥取県米子市において,離岸堤海浜とこれに隣接する自然海浜に生育する海浜植物の出現頻度や微地形条件に対する分布を調べた.
2.設置されてから12年以上が経過した16地区の離岸堤海浜と7地区の自然海浜において生育する植物を記録した.また,3地区の離岸堤海浜と1地区の自然海浜において,汀線から陸側へ向けて5×5mのコドラートを連続的に設置するベルトトランセクト法を用いて出現種を記録するとともに,水準測量から得られた横断地形をもとに,海浜の地形を6つの微地形に区分し,各微地形に対する海浜植物の選好性を調べた.
3.海浜植物の出現頻度を離岸堤海浜と自然海浜とで比較した結果,ツルナとオカヒジキは離岸堤海浜で有意に高く,ハマハタザオ,アナマスレミ,オニシバ,ケカモノハシの4種は,いずれも,自然海浜で有意に高かった.また,ロジスティック回帰分析の結果,小面積の離岸堤海浜で欠落する傾向を示したのはコウボウシバ,ハマボウフウ,タイトゴメ,ハマゴウ,ウンランの5種であった.
4.ケカモノハシを除く上記の10種について,選好する微地形をもとに考察した結果,このような分布傾向が生じるのは,波の影響により生育に適した立地が減少するためと考えられた.また,ケカモノハシについては,種子供給源の少なさが影響していると考えられた.
5.自然海浜に分布していた20種の海浜植物のうち17種が離岸堤海浜で確認されほか,自然海浜では確認されなかった7種の海浜植物が離岸堤海浜で確認された.これらのことから,離岸堤海浜は海浜植物の生育地として機能すると考えられた.ただし,小面積の離岸堤海浜では欠落する種群が認められたことから,離岸堤海浜による海浜植物の保全には十分な海浜面積を確保する必要がある.

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