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植生学会誌
Vol. 31 (2014) No. 1 p. 51-69

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http://doi.org/10.15031/vegsci.31.51

原著論文

1.ブナ林の断片化に伴う面積の縮小がブナ林の種多様性(species richness)と種組成に与える影響を明らかにするために,中国山地の東部に位置する扇ノ山において,断片化したブナ林(20箇所)の植物相と立地環境を調査し,樹林全体の種数および種組成と面積の関係について検討を行った.
2.面積と海抜の比高および微地形単位数との間には強い正の有意な相関があり,立地環境の多様性が小面積化によって低下する傾向が認められた.
3.GleasonモデルとArrheniusモデルを適用し,ブナ林構成種の種数と面積の関係を解析したところ,様々な分類群(全種,高木,低木,地生草本,地生シダ,絶滅危惧種,分布密度の低い種,好適湿性種)の種数が面積によって強く規定されていることが明らかとなった.
4.小面積化による欠落傾向を示す種が数多くみられたことや,DCAの1軸スコアと面積の間に有意な直線関係が認められたこと,小面積化によって欠落しやすい種ほどDCAの1軸スコアが増大する傾向が認められたことから,小面積化は多くの種の欠落を引き起こし,樹林全体の種組成を著しく単純化させることがわかった.
5.絶滅危惧種,分布密度の低い種,好適湿性種は小面積化によって欠落しやすい傾向が認められた.このことから,小面積化による種の欠落には3つの要因,すなわち1)出現確率の低下,2)個体数の減少に起因する絶滅確率の増大,3)適湿地の消失が関係していると考えられた.
6.ブナ林構成種の合計種数は195種であったが,最大面積(85.63ha)の樹林にはこのうちの172種(88.2%)しか出現しなかった.このことから,調査地域のブナ林植物相を1箇所の樹林で維持するために必要な面積は86ha程度でも不十分であることがわかった.

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