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植生学会誌
Vol. 31 (2014) No. 2 p. 129-142

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http://doi.org/10.15031/vegsci.31.129

原著論文

1. 山梨県南アルプス市に位置する北岳の東側斜面および小太郎尾根において,ダケカンバ林の種組成と構造および,その立地を調査し,その結果に基づきダケカンバ林の植生学的位置づけを検討した.

2. ダケカンバ林はネコシデ-ダケカンバ群集,ハイマツ-ダケカンバ群落,ミヤマハンノキ-ダケカンバ群落,タカネノガリヤス-ダケカンバ群集の4 つに区分された.

3. 気候的極相とされる針葉樹林は尾根型斜面に成立しており,稜線直下では針葉樹林の発達は悪かった.ダケカンバ林を含む広葉樹林は凹型斜面,急傾斜地,稜線直下,沢沿いに見られた.

4. ミヤマハンノキ-ダケカンバ群落のダケカンバの直径階分布は一山型を示し,その他の植生タイプでは逆J 字型を示した.ネコシデ-ダケカンバ群集,ハイマツ-ダケカンバ群落の風衝側では針葉樹の混交率が高かった.ダケカンバの根曲がりはミヤマハンノキ-ダケカンバ群落,タカネノガリヤス-ダケカンバ群集,ハイマツ-ダケカンバ群落,ネコシデ-ダケカンバ群集の順に大きかった.針葉樹の損傷はミヤマハンノキ-ダケカンバ群落とハイマツ-ダケカンバ群落で確認された.

5. 北岳に成立しているダケカンバ林は,地表攪乱に伴い成立した林分(ミヤマハンノキ-ダケカンバ群落)と,積雪や乾燥などのストレスがかかる立地に成立した林分(タカネノガリヤス-ダケカンバ群集とハイマツ-ダケカンバ群落),台風などによる小規模ギャップに成立した遷移途中相の林分(ネコシデ-ダケカンバ群集)であると考えられた.

6. 本州中部山岳の亜高山帯のように,より低標高域の植生帯に比べて相対的に種の多様性が低い条件下では,ダケカンバのような様々な環境に適応しうる種特性を持った種が様々な立地に優占林を形成することが示唆された.

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