植生学会誌
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原著論文
長野県松本市周辺におけるクロツバメシジミTongeia fischeri (Eversmann) とその食草ツメレンゲOrostachys japonicus (Maxim.) A. Bergerが生息・生育する植生環境
丸山 知裕島野 光司
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33 巻 (2016) 2 号 p. 53-64

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抄録

 長野県松本市周辺で準絶滅危惧種のチョウ,クロツバメシジミとその食草ツメレンゲの生息・生育環境を明らかにし,その保全のための方法を論じた.調査は長野県松本市,安曇野市の河畔で行った.この内,田沢地区はクロツバメシジミの食草であるツメレンゲは存在したが,成蝶も卵もなかった.クロツバメシジミの存在する地区と存在しない地区で植生の違いは認められなかった.しかしながら,クロツバメシジミの分布しない田沢地区では,ツメレンゲの分布範囲が23.3 × 3 m と小さく,その密度も0.26 /m2 と低かった.クロツバメシジミを保護するためには,食草であるツメレンゲの分布範囲を広く,その密度を高く保つ必要があろう.河川上流のダムによる河川氾濫頻度の減少が河畔の樹木の更新を支えることになっており,これがツメレンゲの生育の妨げになっていることが考えられる.そのため,河畔における人工的な樹木の伐採などがクロツバメシジミの生存やその食草であるツメレンゲの生育に必要であろう.

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