J-STAGE トップ  >  資料トップ  > 書誌事項

植生学会誌
Vol. 34 (2017) No. 1 p. 39-53

記事言語:

http://doi.org/10.15031/vegsci.34.39

原著論文

1. 仙台平野の西縁に位置する青葉山丘陵の鈎取山国有林内で,発達したモミ-イヌブナ林の50年間の遷移を実証的に明らかにし,維持機構を考察した.

2. 50年間で,調査区(20 m×150 m; 樹高2 m以上の個体をセンサス)の構成樹種の種構成に大きな変化は見られなかった.しかし,モミなどの常緑針葉樹種の個体数は増加していたが,イヌブナなどの林冠を構成する主要な落葉広葉樹9種は新規加入率が死亡率を下回っており個体数は減少していた.また,森林全体のBAは増加した.

3. 調査区全体の樹木の直径階分布は,調査を行った3時期全てにおいて5 cm以下のクラスにピークを持つ逆J字型分布を示した.ただし,樹種毎に分布型は異なっており,モミは全時期において逆J字型の分布を示したのに対し,林冠を構成する主要な落葉広葉樹9種の直径階分布は,1961年の逆J字型分布から,2011年にはやや大きなサイズクラスにピークをもつ一山型へと変化した.

4. モミは調査区全体に分布し,L関数の結果からすべての調査時期で明瞭な集中型分布を示した.主要な落葉広葉樹6種は,1961年に集中型分布を示していたが,徐々にランダム型分布へと変化した.

5. 中間温帯林の下限付近に位置する鈎取山国有林のモミ-イヌブナ林では,モミは断続的に加入し,小規模な林冠ギャップに対応して更新してきたのに対し,落葉広葉樹種は過去の大規模攪乱により一斉更新したと推測される.このように森林を構成する各樹種がそれぞれ異なる更新過程を持っており,時間の経過とともに林分構造は変化しつつあるものの,構成樹種の種組成を長期間維持してきたと考えられた.

Copyright © 2017 植生学会

記事ツール

この記事を共有