植生学会誌
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原著論文
河畔植生へのニセアカシアRobinia pseudoacaciaの侵入とその影響
後藤 智史島野 光司
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2018 年 35 巻 2 号 p. 49-65

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抄録

 信濃川水系,梓川,信濃川におけるニセアカシア(ハリエンジュ,Robinia pseudoacacia)の侵入が河畔植生に与える影響について調べた.種組成を見ると,ニセアカシア高木林は他の群落で見られない山地のアカマツ林に生育する木本などが見られ,クラスター分析では他の河畔植生とは異なる一つのグループを形成した.群落をNMDSで序列化しラウンケアの生活型との対応を見ると,一年草は草本群落方向にベクトルが伸び,これはニセアカシア林とは反対の方向だった.一方でN,Mなどの木本のベクトルは,ニセアカシア林に向かっていた.また湿生植物は,ニセアカシアのないヤナギ群落方向にベクトルが向いていた.環境要因ベクトルとの対応では,ヤナギ高木林は礫が小さい方向にあるのに対し,ニセアカシア高木林は礫の大小の影響を受けない方向に位置していた.これには,ニセアカシアが礫地でも根粒菌が共生することで窒素分を吸収できたり,根萌芽で栄養繁殖できることなどが理由として考えられた.階層構造を見ると,ヤナギ高木林の林冠下にはニセアカシアの低木や稚樹が見られた一方,ニセアカシア高木林の林冠下にはヤナギ類は見られなかった.ラウンケアの生活型を用いた遷移度指数のベクトルも,NMDS上でニセアカシア高木林方向に向かっており,ニセアカシアの侵入した渓畔林はニセアカシア高木林へ遷移していくことが考えられ,従来の河畔林とは異なる植生になっていくことが考えられた.

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