植生学会誌
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原著論文
自然環境保全基礎調査植生調査データにもとづく準絶滅危惧種69種の生育環境類型化
阿部 聖哉
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2018 年 35 巻 2 号 p. 67-88

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抄録

1. 多数のレッドリスト掲載種を対象に生育可能な植生区分を効率的に把握するため,第6-7回自然環境保全基礎調査の植生調査データを用いて,情報が公開されている準絶滅危惧種を対象とする植物社会学的な群落区分にもとづく生育環境の類型化を行い,群落体系の上級単位や文献のキーワードから抽出した生育環境特性との対応関係を検討した.

2. 出現地点数が5点以上の準絶滅危惧種69種を対象に,それらの出現する植生調査資料1129点を解析し,129の群落を区分して種組成より群落体系上の位置づけを推定した.

3. 129の群落はさらに準絶滅危惧種69種の出現状況をもとに,サブグループを含む31の生育環境区分にまとめた.これらの区分は,群団・オーダーレベルの群落単位との対応が認められ,キーワードから抽出した生育環境特性ともある程度の関連性が認められた.

4. 本研究における69種の分析結果からは,森林性の種の生育環境は植生の相観的な特徴ではなく気候帯の違いを反映した群落単位で整理することができた.また,草原や海岸,湿地性の種の生育環境と同じ立地に生育するクラスを超えた複数の群落単位をまとめて整理することができる可能性が示唆された.

5. 本研究により,既存の植生調査データを補完的に活用することで,図鑑の記載情報よりも詳細な生育環境区分に関する情報が得られることが示唆された.このような詳細な生育環境の情報を事前に整理することによって,環境アセスメントにおいて膨大な既存資料を活用して行う計画段階での影響評価や現地調査の計画立案を,効率的に実施することが期待される.

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