植生学会誌
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原著論文
インドネシア・東ジャワの互いに隣接する3 つのアグロフォレストリーパッチにおける植物種の出現特性
Yasa Palaguna UMAR平山 知宏伊藤 哲松倉 百花溝口 拓朗Adi SETIAWAN光田 靖平田 令子加治佐 剛Hagus TARNOKurniawan Puji WICAKSONOArifin Noor SUGIHARTO
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2019 年 36 巻 2 号 p. 61-70

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抄録

 異なるタイプのアグロフォレストリー(AF)およびその隣接関係が植物種多様性に与える影響を明らかにする目的で, インドネシア・東ジャワのPinusmerkusii (Merkus pine),Tectona grandis(CommonTeak)およびEucalyptus camaldulensis(River red gum)がそれぞれ上層木として植栽されているAF パッチ(以下,P, T およびE)において,維管束植物種の出現状況を調査した.互いに隣接するP とT およびPとE の境界を横断する形でベルトトランセクトを設け,トランセクト上に計39 個のコドラートを設置して,生育する植物の種名を記録した.また,各コドラートで,リターによる地表被覆率,開空度および土壌水分を測定した.3 つのAF パッチの全コドラートを通して在来種29 種を含む52 種の植物が確認され,P,T およびE ではそれぞれ32,20 および35 種の植物(それぞれ16,11,18 種の在来種を含む)が生育していた.これらのうち,各パッチに特異的に出現した種(specificspecies)は,それぞれ8,6 および13 種の計27種であった.物理環境の比較から,これらの出現種の違いはE の開空度が他のパッチよりも比較的高いこと,およびT の林床がT. grandis の厚いリターに被覆されていることによると推察された.また,本調査地の全出現種および在来種の半数以上が,タイプの異なるAF の存在によって担保されており,異なるAF のパッチモザイク景観が植物種多様性保全に有効に機能していると考えられた.さらに,異なるAF パッチが相互に隣接する効果を評価するために,林縁部(patchedge: パッチ境界から10 m 以内)と林内部(patch interior:パッチ境界から10 m 以上離れた地点)に区分して出現種数を解析した.その結果,林縁部のみで共通して確認された種数(P-T 林縁およびP-E 林縁でともに4 種)よりも,むしろ林内部で共通的に出現していた種数(P とT で6 種,P とE で11 種)の方が多く,在来種についても同様の傾向であった.したがって,AF 同士が隣接する場合は,森林と草原のように物理環境が極端に違うパッチが隣接する場合と異なり,植物種の共存に対する林縁効果は限定的であると考えられた.

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© 2019 植生学会
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