植生学会誌
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口永良部島に分布するタブノキ二次林の種組成および種多様性
石田 弘明
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2019 年 36 巻 2 号 p. 71-79

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抄録

1. 鹿児島県の離島である口永良部島にはタブノキ の優占する二次林が各所に分布している.しかし,そ の種組成や種多様性などの実態はほとんど明らかと なっていない.

2. 本研究では,口永良部島のタブノキ二次林の種 組成および種多様性の特徴を明らかにするために,同 島のタブノキ二次林とスダジイ二次林を対象とした植 生調査を実施し,その結果を両者の間で比較した.ま た,口永良部島で得られたデータと既往研究のデータ をもとに,口永良部島のタブノキ二次林と他地域(鹿 児島県,宮崎県)に分布するタブノキ自然林およびタ ブノキ二次林との比較を行った.

3. 口永良部島のタブノキ二次林の種組成は同島の スダジイ二次林,屋久島・種子島・宮崎県のタブノキ 自然林,桜島のタブノキ二次林の種組成と明らかに異 なっており,種組成による相互の区分が可能であるこ とがわかった.

4. 口永良部島のタブノキ二次林は「気候的極相で あるスダジイ優占林への遷移途中相」であり,その種 組成と同島のスダジイ二次林の種組成との差は遷移段 階の相違をある程度反映していると考えられた.

5. 口永良部島のタブノキ二次林は同島のスダジイ 二次林および桜島のタブノキ二次林と比べてやや高い 種多様性または同程度の種多様性を有していることが わかった.しかし,口永良部島のタブノキ二次林と屋久島・種子島・宮崎県のタブノキ自然林を比較したと ころ,前者の種多様性は後者の種多様性よりも明らか に低い傾向が認められた.

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