植生学会誌
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資料・報告
タブノキの分布北限個体群の現状
石田 弘明
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2020 年 37 巻 1 号 p. 57-61

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抄録

1. タブノキの分布北限個体群の現状を把握するために,タブノキの日本最北限の自生地(青森県深浦町武甕槌神社の境内)において本種の全個体を対象とした毎木調査を実施し,その空間分布や樹高,胸高直径などを記録した.

2. タブノキの分布地点の海抜は10 mから30 mまでの範囲にあった.海抜30 m地点の最寒月の月平均気温(2009年から2018年までの平均値)は-0.3°Cであった.タブノキはいずれも単幹の個体であり,その個体数は60本であった.

3. タブノキの樹高の範囲は0.05-11.0 mで,樹高1.3 m以上の個体の胸高直径の範囲は2.9-73.2 cmであった.樹高2.0 m未満の個体数は35本(総個体数に対する比率は58.3%)で,このうち34本は樹高0.5 m未満であった.2.0 m未満または0.5 m未満の樹高階と比べると他の樹高階の個体数は2-8本と非常に少なかった.

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