Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)
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原著
石垣島の亜熱帯性砂浜におけるイソハマグリとリュウキュウナミノコの垂直分布
高田 宜武小菅 丈治西濱 士郎加藤 雅也
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2002 年 61 巻 3-4 号 p. 203-213

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抄録

亜熱帯性砂浜に生息する二枚貝類は潜在的な食料資源として重要である。しかし, これらの生息個体数の推定は, 密度変異が幅広いためにしばしば困難である。本研究では南西日本石垣島の砂浜において, イソハマグリとリュウキュウナミノコの夏季の垂直分布を定量的に調査した。両種とも潮間帯に広く分布するが, 高密度域は中潮帯にあった。同所的には, チドリマスオ・ナミノコマスオ・ヤエヤマスダレが少数生息した。波の静かな夏季の6時間および24時間の標識再捕実験の結果, 両種とも移動範囲は狭く, そのために垂直分布パターンには干潮時と満潮時で変化が見られなかった。個体群のサイズ分布を見ると, 両種とも未成熟と思われる小型個体が卓越していた。満潮時の採集は非効率的であり, サイズ分布に潮位差が認められたため, これらの個体群の定量的な採集には, 潮間帯全体を干潮時に行うことが必要である。

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© 2002 日本貝類学会
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