2005 年 64 巻 1-2 号 p. 45-53
ミトコンドリアDNAの塩基配列に基づき,シマイシロウリガイとナンカイシロウリガイについて,本州沖冷湧水域と沖縄トラフ熱水噴出域の集団間に有意な遺伝的分化がある事が示された。それぞれの種内に,比較的他から遺伝的に分化したハプロタイプの存在が検出された。またシマイシロウリガイでは,両海域間での非対称なハプロタイプ分布が示された。同様のパターンが,両海域に生息する第3の種エンセイシロウリガイについても見出されている事から,本州沖と沖縄トラフに分布するこれら3種のシロウリガイ類の分散が共通の歴史的要因に起因する可能性が示唆された。