Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)
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原著
鯨骨の下にアブラキヌタレが棲む―その生物学的意義
藤原 義弘奥谷 喬司山中 寿朗河戸 勝溝田 智俊藤倉 克則山本 智子大越 健嗣
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2009 年 68 巻 1-2 号 p. 27-37

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抄録

鹿児島県野間岬沖に沈下された鯨の遺骸上にはヒラノマクラの大群が棲むことを既報したが,今回は同じ遺骸下の海底沈積物のなかにアブラキヌタレが棲息することを報告する。
アブラキヌタレはこれまで,襟裳岬沖,銚子沖,相模湾,和歌山県沖および福井県厨(くりや)沖から知られていたが,今回の発見は本種の分布域の拡大のみならず特異な棲息環境についての新情報となる。また,本種は鰓に硫黄細菌を共生させていて,本種の炭素と硫黄同位体組成の分析の結果から化学合成依存性であることが証明された。更にその中に棲む共生細菌の超微細構造観察を行い,分子系統を調べた結果,その共生細菌は既報のキヌタレガイ科二枚貝の共生細菌と形態的に類似し,また分子系統解析の結果もSolemya reidi とスエヒロキヌタレの共生細菌とよく一致した。しかしながら,現時点では共生細菌の獲得方法を示唆する知見は得られていない。

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