Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)
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原著
日本海(新潟県)産エチゴウミコチョウ属(新称)Enotepteronの1新種
濱谷 巌
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2009 年 68 巻 1-2 号 p. 9-14

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抄録

新潟県の新川河口部南方の海域で林育夫氏(日本海区水産研究所)によってエチゴウミコチョウ属(新称)Enotepteron Minichev, 1967の一種が採集され,精査の結果本邦新記録属且つ新種と判断したのでこれを記載した。Enotepteronは左右の側足の外縁の後方にそれぞれ一個の小球体が附属することが外部形態の特徴である。
Enotepteron hayashii n. sp. エチゴウミコチョウ(新種・新称)
固定標本は翼足を拡げた状態で全形が約4×4 mm。頭楯の後方にかすかな橙赤色の縦の不連続線が3本あり,それらの1本は正中線上に,他の2本は両側に沿う。同色のかすかな色班が外套楯の表面にも散在し,背面後方の長い鞭状突起の先端をも染める。外套楯の背面は平滑,背面後方の正中線の僅か右寄りに長い鞭状突起が,後端の正中線上に小さな瘤状突起がある。貝殻はない。歯式は14×4・1・0・1・4。歯舌は無色透明。第1側歯は鎌状で大きく,先方の1/3は緩やかに湾曲し,中程は膨らみ,その内側に3~4個の鋸歯がある。第2~4側歯は細長く,鋸歯を欠き,何れも湾曲し,外側のものほど小さい。
本種は固定標本の頭楯に僅かに残る3本の橙赤色帯と,外套楯の背面の突起, 更に歯舌の形状が既知の3種と異なり,新種であると認められる。
タイプ産地:新潟県五十嵐浜の新川河口部の沖,水深約6 m。

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