2013 年 71 巻 1-2 号 p. 49-59
2010年10月1日から2010年12月1日までの2か月間,マレーシアボルネオ島の北部,サバ州において,陸産貝類の調査を行った。13か所の調査地を選択し,見つけ採りを行った結果,39種の陸産貝類が得られた。13か所の調査地のうち3か所が石灰岩地帯であった。石灰岩地帯では,非石灰岩地帯と比べて種数が豊富であった。3か所の石灰岩地帯からは,それぞれ異なるノタウチガイ属の種が見つかった。この結果は,ノタウチガイ属に知られる高い固有性を支持する。本調査により,種名を同定できない標本が採集され,サバ州においてこのグループの分類学的検討が不十分であることを示唆した。
日本を含む世界中に分布を広げている,Bradybaena similaris (Rang, 1831)オナジマイマイとSubulinaoctona (Bruguière, 1792)オカクチキレガイは,熱帯のサバ州においても,人為的に環境が改変された場所で生息が確認された。