Venus (Journal of the Malacological Society of Japan)
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原著
アツセンベイツキガイの形態・鰓構造とツキガイ科二枚貝類の分子系統解析
久原 瞳子狩野 泰則吉越 一馬橋本 惇
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2014 年 72 巻 1-4 号 p. 13-27

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抄録

奄美大島西方水深601~646 m海域における長崎大学附属練習船長崎丸のビームトロール調査により,ツキガイ科のアツセンベイツキガイElliptiolucina ingens Okutani, 2011の生貝標本24個体が採集された。この二枚貝は同海域の水深576~594mから得られた死殻4個体に基づき新種として記載されたものである。E. ingensの原記載と長崎丸調査による生貝標本を比較したところ,殻形態の変異幅,筋痕の特徴など貝殻形質にいくつかの相違が認められた。これはタイプ標本がやや摩耗した状態であり,その数が少ないことに由来すると考えられたため,新標本に基づき種の再定義を行った。また,同属において初となる軟体部形態観察の結果,本種はmantle gillならびにapertural papillaeを欠き,長いmantle fusionを備えることが分かった。櫛鰓組織切片の光学顕微鏡観察では,細胞内に共生する細菌および顆粒細胞を確認した。18Sおよび28S rRNA遺伝子塩基配列を用いた分子生物学的解析の結果,ツキガイ科二枚貝類は 1)Lucininaeウメノハナガイ亜科とCodakiinaeツキガイ亜科からなるクレードと 2)Leucosphaerinae亜科,Pegophyseminaeカブラツキガイ亜科,Fimbriinaeカゴガイ亜科,Monitilorinae亜科及びMyrteinaeケシツブツキガイ亜科を含むクレードに大別された。アツセンベイツキガイは,ケシツブツキガイ亜科のMyrteaケシツブツキガイ属,Notomyrteaワタゾコツキガイ属やGloverina属に近縁であることが示された。

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© 2016 日本貝類学会
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